営業と詐欺のあいだ - 坂口孝則

投稿日:

以前紹介した「1円家電のカラクリ0円・iPhoneの正体 - デフレ社会究極のサバイバル学」を書いた坂口孝則さんの著書です。

面白いです。
人がどういう思考過程を経て商品の購入に至るのかを細かく分析している。

なるほど確かに、冷静に考えたら「損している」と思うのに「あえて」特にはならない商品を買ったり、あえて「安くない」ところで商品を買った経験って誰にでもあると思います。

まぁ、それを「騙されている」と感じるのかどうかは人それぞれだと思いますし、有益だったと本人が感じているなら問題ないと思います。

が、その満足感が営業マンや販売員の巧みなテクニックで誘導されているとしたら・・・
っと言うのが本書のテーマ。

「営業と詐欺のあいだ」って言うタイトルの付け方からして煽っている感じがしますけど、消費者としては読んでおいて損はないかなぁっと思います。

面白いかどうかはともかく、内容に関しては賛否両論あるようですね。

恐らく、消費者と言うよりも彼の同業者であるバイヤーとか、営業に向けて書いているんじゃないかと感じました。

なので、本書の中で紹介されている詐欺の手口や詐欺まがいのインターネットの情報商材ビジネスの手法を見ても、「だから気をつけましょう」ではなくて、「こういう手法もある」と言う感じで紹介している感じがしてしまうのは否めません。

まぁ、彼はバイヤーであり、普通の顧客では無い場合が多いでしょうから、どちらかと言うと営業側の視点になってしまうのは仕方が無いと思います。

けど、「営業と詐欺の境界線」として「社会をより良くしたい」と思っているかどうかだという纏めは普通に考えておかしい。
これこそ売る側が使うレトリックだと思うけど、本気でこれを信じているとしたら・・・っと思ってしまうなぁっと。

まぁ、著者の信条や思想には正直「?」っとなる部分は多いのですが、それを差し引いても面白い本だと思います。

人がカルトや詐欺に引っ掛かってしまう理由。
経験した事が無い人にとって未知な領域ですが、その手法を解説しているので参考にはなると思います。

ただ、それを知ったからと言って被害から身を守れるかどうかは微妙ですけどね。
それくらい手口としては巧妙だと思いました。

ただ、人が「買おう」と言う決断をするまでに、どういう思考過程を経て行くのかと言う部分を販売側がどれくらい意識して、巧みにそこに誘導しているのかと言う部分は消費者として知って置いて損はないとは思います。

一読の価値はある本だと思いますよ。

更新日: