日本中枢の崩壊 - 古賀 茂明

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最近、経済産業省を退職された古賀 茂明さんの本。

発行されたのは 5月23日ですが、ど頭からドキッとする内容です。

なぜか?

なぜなら、この本で書かれている崩壊のシナリオが現実になりつつあるから。

野田政権が発足して、増税路線が既定路線になっている事を知っている我々からすると、「やっぱりそうだったのか。」っと思わざるを得ない所がいくつも出てきます。

もちろん、歴史は後から振り返ってみなければ「正しかった」のか「間違っていた」のかの評価は下せないんだけれども、なんだか不味い事になっているんじゃないかという事を再確認させられました。

内容としては、今年の3月に起きた東日本大震災とそれに伴う福島原発事故への政府の対応の遅れや失敗の原因などから入り、官僚として活躍の場を奪われていった経緯などを、公務員制度改革に取り組んだ話などを交えて詳しく説明していきます。

そこから、霞が関の実態や、官僚の本性、自民党政権と官僚の癒着や、民主党の政治主導が躓いた訳などを説明していき、このまま官僚が日本を支配し続けれるとどうなるのかを説明していきます。

そして、最後に「ではどうすればいいのか?」という質問に対する古賀さんの案をまとめて終わる感じです。
最後に、震災後に実名で雑誌に投稿しようとして経済産業省に止められた「東電処理案」も掲載されています。


この本を読むと、何よりも霞が関の構造上の問題が一番大きいのではないかというふうに感じてしまいます。

官僚が悪いと言うよりも、官僚が長年作ってきた組織や体質が官僚自身の考え方もひん曲げてしまい、結果、国民のことを顧みず自らが所属する組織の利益を最優先した政策を、何の疑いもなく立案してしまう。

また、官僚の力がどれだけ絶大なのかということも思い知らされます。

これじゃぁにわか仕込みの民主党政権では、結局良いように使われてしまうんだろうなぁっと。

だからこそ、我々はもっと官僚機構について厳しくチェックすると言うか、監視していく必要があるように感じます。


それと、公務員制度改革のくだりで当時の内閣の話や大臣・議員の話が色々と出てくるのですが、今まで感じていたイメージとは随分と違う人も多くて勉強になりました。

っと同時に、いかに政治家のイメージがマスコミの影響で創りだされているかということなんですよね。
で、さらにメディアを使った戦略も官僚の得意手段ということ。

こういうのを読んでいると、なんだか何が正しいのか、何を信じたらいいのか分からなくなります。
でも、情報ってのは一旦疑って掛かるくらいでいいのかも知れないですね。

これは、佐藤 優さんの「国家の罠」を読んだ時にも感じたことですけど、特に政治家の評価はマスコミによって、もの凄くねじ曲げられているものが多いように思います。

簡単に言えば、官僚にとって御し易ければ「良い」政治家。
反対に御し難ければ「悪い」政治家。

そして、マスコミは基本的には官僚よりの報道をするので、我々の印象は官僚がコントロールしたイメージで固定されてしまう・・・と。


で、この手の官僚批判とか、現政権批判はいろいろな人が行なっている訳ですが、この本の良いところは、批判だけでなく対応策と言うか改善策を出しているところですね。

正直、官僚的な発想に感じてしまう部分も皆無とは言えないのですが、そういう部分を差し引いても画期的な提案だと思います。

ただ、現政権になり、結局退職が決定してしまったように、現在の政治の状況は霞が関の体質改善には全く興味がないようですし、どちらかと言えば霞が関よりの政権の様ですので、この本に書かれているような改革は難しいのかも知れませんが。。。


この本を読んでいると、本当にこのままでいいのか?っと怖くなってしまいます。

なぜなら、この本に書かれている一番悪いシナリオの方向に政策が進んでいるようにしか見えないから。。。

とにかく、一度手にとって読んで欲しい本ですね。
色々と考えさせられると思います。

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