国家の罠--外務省のラスプーチンと呼ばれて - 佐藤 優

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いわゆる「鈴木宗男事件」で背任と偽計業務妨害の容疑により逮捕された佐藤 優さんが、「鈴木宗男事件」の背景や、拘置所内での暮らし、検察官とのやり取りなどを仔細につづった本。

前々から読もうと思っていた本ですが、なかなか機会が無くて放置してきましたが、本当に面白い本です、読んでない方は是非読んでみてください。

感想は人それぞれだと思いますが、とても冷静に詳細に分析された数々の情報が出てきます。
それは、ソ連〜ロシアの政界の話だったり、日本の政治の話だったり、外務省の話だったり、検察の話だったり、拘置所の話だったりするのですが、全てが詳細に冷静に分析されており、とても分かりやすい形で説明されています。

結構難しい内容の話だと思うのですが、すらすら読めてしまいます。
そして、イメージとして思い浮かべる事が出来るんです。

デビュー作でこの文章力。
これは、本当に凄いと思います。

佐藤 優さんに興味を持ったきっかけをなかなか思い出せないのですが、確かネット上のコラム的なもので連載しているものを読んだ事がきっかけだった様に思いますが、その当時は「ムネオの時に騒がれた人かぁ...」とか「面白い文章を書く人だなぁ...」と思っていた程度で、著書を読もうと思うほど興味を持って居た訳でもなく、特別気にもしても居ませんでした。

で、本格的に興味を持つきっかけになったが、MXTVでやっている「東京の窓から」に出演した時の映像です。

今見ても思いますが、都知事の機嫌が余りにも良くて笑ってしまう。


2009.10.17 東京の窓から 1 投稿者 etsimcry

まぁ、何と言うか、こういう人を喜ばす技術が外交に生かされていたんだろうなぁ...と思ってしまいます。
それと同時に、知識の深さというか、物事の捉え方に面白さを感じました。

その後、検察関係の本を読んでいる過程でよんだ「特捜神話の終焉(郷原 信)」と言う本の中での佐藤さんの話がとても面白かったので、それがきっかけで「国家の罠」を読んでみようと思った訳です。


この本を読んでいて強く印象に残ったのが、佐藤さんが検察や検事の事を悪く書いていない事です。
実は、「特捜神話の終焉」を読んだ際に興味を持った点もまさにココだったんです。

自分が無実の罪で捕まったと主張している被告が検察側に対して抱く感情と言うのは、捕まった事が無い身であっても容易に想像できる訳で、実際に私が読んできた本の中で語られる内容としては、当然のように検察や検事を批判したりする内容が多かったように思いますが、佐藤さんは違う。

恨みや批判よりも、自らの事件を冷静に分析し、何故捕まったのか、何故国策捜査の対象になったのか、何故逮捕する必要があったのかを担当の検事とともに解き明かしていく。
これは、ちょっと異常な光景です。

担当の西村検事も相当な変わり者だと思いますが、西村検事と佐藤さんのやり取りが本当に面白い。

私もそうですが、「国策捜査」と言う言葉を使うときには、ある種の検察批判と言うか「そんな事をやって良いのか?」っと言うスタンスで使う事が多いと思いますが、この本では違う。

何故、国策捜査が行われるのか?
何故、自分がその対象になったのか?

自分の事件を冷静に分析していくんですよ。
この辺りが、本当に凄いなぁ...と思ってしまいました。

そして導き出されたのが、「時代のけじめとしての国策捜査」という言葉。
だからなのか、佐藤さんは検察に対しても検事に対しても悪い感情は持っていないと言い続けているんですね。

なんか、これを見て色々と腑に落ちました。


何とまとめていいのか分かりませんが、先日実刑が確定した堀江さんもそうですけど、本当に凄い人ってのは国策捜査だろうと、権力と戦って敗れようと、容易に消え去る事はないんですよね。
佐藤さんの外交官としての人生は終わりましたが、そのおかげで我々はこの本が読めてる訳です。

人生何があるか分からないけど、真面目に自分の道を極めて行こうと思いました。

まとめになっていないですけど、とにかくお薦めの本です、一度読んでみてください。

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