拝金 - 堀江 貴文

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ご存知ホリエモンこと元ライブドア社長・堀江貴文氏の処女小説。

この本を単純にフィクション小説として読んでしまうと、確かに文章はお世辞にも上手いとは言えないし、ストーリー的にも薄い感じがするんだけれども、限りなくノンフィクションに近い(部分もある)小説として読むと、なかなか面白いんじゃないかと思います。
まさに、本人にしか書けない内容。

登場する人物や会社は架空の名前なんだけれども、ほとんど誰の事を行ってるのか分かるので、あれこれ詮索してしまう内容。
恐らく巧妙に嘘と真実を散りばめているんだろうけど、それが分かっていても面白いです。

途中までは何となく当時のニュースなり新聞なりを読んでいればそこそこ分かる内容だと思いますが、最後の部分を理解するために、以前も紹介した「メディアの支配者 - 中川 一徳」を読む事をお勧めします。

この本を読んでいるかどうかでかなり印象が変わるんじゃないかなぁ...と思います。

個人的に、「そう来たか~」っと思いましたね(笑)
使い方が上手い。

ライブドアの近鉄買収の話や、その後のニッポン放送買収、衆院選、逮捕の流れの辺りって、人によってイメージが大きく異なる話だと思います。
当時、この一連の事件にそこまで興味もなかったので、堀江さんに対しては良いイメージも悪いイメージも特に無かったのですが、何となくやり過ぎたからハメられたというか、見せしめ的に逮捕されてつぶされたイメージがありました。

で、今この当時を振り返って思うのは、村上ファンドの事件も含めて一連の事件の本質は、池上彰さんが「伝える力」の中で書いている、「けしからん罪」って奴じゃないかと思うんですよね。
あの当時、多くの大人が抱いていた堀江貴文という人物に対する感情って「けしからん」だと思うんですよ。

で、なんで「けしからん」のかと言ったら、簡単に言えば「若いのに成功している」からとか、「株で儲けてるから」とか、何となく妬みからきているものが多いように感じます。
そういう「世論」に後押しされて検察は正義の名のもとに彼らを逮捕していくわけだけれども、やはりこの事件が日本経済に与えた影響ってとても大きいと思います。


まぁ、「けしからん罪」なんて言っているうちは絶対に日本は良くならないって事ですよ。
別に、金を儲ける事が素晴らしい事で、そのために何をしてもかまわないと思っている訳ではないですが、成功している人の足を引っ張って引きずり下ろすというのが「民意」として、当然の事として考えられてる国って嫌だなぁ...と。

個人的には、ホリエモンは正直すぎる人なんじゃないかと思ってます。
何と言うか、言ってる事は正論だし、やっぱり頭の良さが半端ないので、人とは違う視点で物事が見れる。
でも、人って正面から正しい事を言われるとね・・・
そして、多くの人はホリエモンに対して劣等感(ネタミとかケシカラン的な)を持っているために、悪い感情を抱いてしまうと。


個人的にこの本は、小説って言うよりも漫画とかアニメにすると面白いんじゃないかと思いました。
それくらい、スピード感があるし、普段小説を読まない人も簡単に読めるので、お勧めです。

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