緊急提言! デジタル教育は日本を滅ぼす - 田原総一朗
純粋に感想を書くとすれば、「あらかじめ決められた結論に向かって書かれた本」と言う感じです。
「緊急提言! デジタル教育は日本を滅ぼす」というタイトルが物語っているように、教科書をデジタル化する事によってもたらされる弊害を上げる事で、教科書のデジタル化に警鐘を鳴らすというのが本書の目的だと思いますが、肝心のデジタル教育についての考察や議論が余りにも少ない。
と言うのも、デジタル教科書について書かれているのは、最初と最後だけだからです。
そして、内容的にも結構強引と言うか、こじ付けとまでは言いませんが、何となく短絡的と言うか論理が飛躍しているような印象を受けてしまいました。
なので、冒頭に書いたように「デジタル教科書=悪」というあらかじめ決められた結論を前提にして書いているように感じたんだと思います。
では、読む価値がないのか?
っと言えば、一概にそうも言えなくて、中盤はこれまでの政府の教育に対する方針の変遷や、それに対する各識者の意見、当時の報道など、教育改革の歴史を紹介しつつ、田原総一郎自身の教育に対する考え方を展開する形の内容になっています。
この部分がとても面白い。
個人的に教育改革の知識が全くなかったので非常に勉強になりました。
いったい何が問題だったのかとか、今後の教育を考える上で何を重視しなくてはならないのか、など非常に考えさせられる内容だと思います。
身近に使う「ゆとり教育」という言葉ですけど、ぜんぜん本質を知らなかった事に改めて気がつきました。
何が「ゆとり」なのか、何で「ゆとり」が問題なのか、「ゆとり」の何がいけなかったのか。
結構漠然としたイメージだけで考えてしまっていた事に気付かされました。
なので、全編通してお勧めできるかと言ったらそうでは無いですが、日本の教育史を知るという意味では良いと思います。
コメント
中谷 晋
その通り、これほど題名と内容の一致しない本は読んだことがない。産業構造が大きく変わる可能性を、おそれているのではないかと思っている。特に新聞社が、感じているようですね。グーグルを提訴した読売新聞は、裁判をやめてしまった。このあたりにキーがあるのではないかと思っています。
道草から中谷 晋への返信
> 中谷 晋さん
コメントありがとうございます。
そうですね、何か大人の事情を感じさせる内容に思いました。