自作シールド(Belden & Mogami)

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Belden 8142Mogami 2534 というケーブルを使い、Switchcraft 280 をプラグに使ってシールドを自作してみました。

発端

何でケーブルの自作なんかを始めたのかと言うと、ラックマウントの機材が溜まってきたのでパッチベイでも使おうと思ったからです。
パッチベイを使うとなると相当数のシールドが必要になるのですが、それなりの品質の既製品で揃えた場合、結構な金額になってしまいます。
が、ケチってシステム全体の音が悪くなってしまうのも嫌だったので、いっそのこと自作してしまおうかと。
まぁ、ありがちな話ですね。

初めて知ったのですが、ケーブルとプラグって山ほど種類があるんですね。
純粋にギター用ってなると絞ることができるのですが、今回の目的にはパッチケーブルとか、シンセの出力に利用するケーブルも含まれるので、バランスケーブルが作れる線材を使うのが最低条件です。
なので、いわゆるギター用(Mogami 2524 みたいな1芯でシールドが付いているタイプ)のケーブルは外して考えたのですが、それこそ山ほど種類があります。

しかも、ケーブルやプラグによって音に特性があるらしいのです。
こういう情報を目の当たりにすると「本当にケーブルで音が変わるのか??」っと言う疑問が湧いてきてしまって、この機会にケーブルで音質が変わるのかを調べてみよう!っという感じです。

選んだ部品

Belden 8412 と Mogami 2534 を使ってケーブルを作ることにしたのですが、どちらもバランス用のケーブルです。
もちろんアンバランスでも使えますが、特にギター用と銘打って製品化されているものではありません。

Belden 8412 はギター用のシールドとしても人気があるらしく、普通に Beldenブランドのシールドが楽器屋で売られています。

逆に Mogami 2534 はギター用のシールドとしてよりも、PAさんが使っている例のほうが多いらしくショップオリジナルのようなものはありますが、パッケージ商品としては見つけることができませんでした。

Mogami には 2524 というギター用の 1芯ケーブルが存在し、こちらはギターシールドして人気があるようなのですが、今回 2534 を選んだのは単純に 4芯のケーブルで作ってみたかった事と、PA の現場ではスタンダードであるという評判を耳にしたからです。

プラグには Switchcraft の 280 を選びましたが、これには音的な理由は別段なくて、単純に業界標準的な感じで書かれていたことと、持っているシールドの中に Switchcraft 280 を使っているものがあったので、参考にすることが出来ると思ったからです。
(これは結構重要だと思います。)

後、直接音には影響なさそうですが、半田は Kester 44 を使いました。
このほかに、熱収縮チューブも使いましたが、補強や絶縁を考えてると必須だと思います。

一応、今回使ったパーツは以下のようなもの。


セミバランスとは何ぞや?

8412 は 2芯、2534 は 4芯で、どちらもバランスケーブル用ですが、今回作るのはアンバランスのケーブルです。
2芯(もしくは4芯などのバランス用)のケーブルを使ってシールドを作る際には 2通りの作り方があるらしく、だいたい以下のような感じで紹介されています。

  • アンバランス?
    正式な名称は良く分からないのですが 1芯の置き換えとして2芯を使う方法です。
    ホットはそのままチップに、コールドとシールドを束ねたものをスリーブに落とします。
    (おそらくスタンダードなんではないかと...)
  • セミバランス
    いわゆる「方向性がある」ケーブルというやつです。
    (作り方などはこちら。)簡単に言うと、ホットはアンバランスと同じですが、スリーブは片側だけコールドとシールドを結線し、もう片方はコールドだけを結線してシールド線は絶縁します。

セミバランスって初めて知ったんですが、ノイズが減るという効果があるんだそうです。
ただ、作り方を含めて個人サイトの情報が中心で、正確な情報が得られません。

私の奥様は音響の専門学校に通っていたので、その手の知識は私よりも遥かにあるのですが聞いた事が無いようだったので、無理を言って専門学校時代の友人で現役PAの方々に聞いてもらったのですが、知っている人はいませんでした。

PA業界では・・・みたいな記述がされていましたが、どうなのか良く分かりません。
今回聞いた人たちは、ホールとかライブハウスとかでPAをやっている人たちで、レコーディングエンジニアは含まれていないのですが、レコーディングスタジオではメジャーな手法なのでしょうか?
よく分かりません。。。

っという感じで、民間療法的な香りが非常に強いのですが、市販の製品でセミバランス結線を採用している商品もあり、まったくの嘘と言うわけでも無いようですし、セミバランスを試した人が口をそろえて「ノイズが少ない」とか「音が変わった」っと書いているので、これも試してみることにしました。


聴き比べた環境

このような感じで、Belden 8412 と Mogami 2534 で 3m のシールドをアンバランスとセミバランスで作成し、合計 4本のシールドを作成していろいろと音を確認してみました。

まずは、普通に Pod に接続して試してみました。
環境は以下のような感じ。

ギター(Gibson Non-Reverse Firebird with 3 P-90's)と Pod xt の間に今回作成したケーブルなどの比較対象のシールドを使います。
Pod xt からは ミキサー(TAPCO Mix.260FX)に繋いでいますが、ここには Mogami2534 のアンバランスケーブルを使いました。
ミキサーからスピーカー(Dynaudio acoustics BM5A)は Mogami 2791 を使ったバランスケーブルで接続されています。

比較には、作成したケーブル以外では以下のようなメーカーのシールドを使いました。

  • Ex-Pro
  • DiMarzio
  • Planet waves

一応、そこそこのケーブル達だと思います。


結論

完成したシールド
Belden 8412
Belden 8412

Mogami 2534
Mogami 2534

見た目は圧倒的に Belden 8412 です。
高級感がありますね。

まず、シールドによって音が変わるのか?と言う事ですが、これはハッキリと「変わる」と言えると思います。

ただ、どれが良い音か?っと聞かれると非常に難しいですね。
私の好みでは Mogami 2534 ですが、Belden 8412 も悪いわけではありません。

Belden 8412 は「音が太くなる」と表現されていることが多いのですが、確かにメーカー製のシールドと比べると太い音が出るような気もしますが、若干ハイが下がって、中低音が強調されたような音だと思います。
クリーンに近い音で弾いた場合には若干ブーミーなー感じとでも言うんでしょうか、ちょっとモタツクような感じです。
逆に、ガンガン歪ませて高音がギシギシする様なキツイ音の場合には、綺麗に纏まるような印象があります。
ただ、やはり若干ブーミーです。

表現が難しいのですが、極端に例えれば、ブリッジミュートの音が Mogami 2534 が「ズンズン」って感じだったら、Belden 8412 は「ズンズン」っと言った感じでしょうか?
わかりにくいし、極端すぎですね・・・

Mogami 2534 は圧倒的にフラットですね、まさにそのままの音って感じなんでは無いでしょうか??
クリーンな音はクリーンに、きつい音はきつく、何とも言えませんが本当に「そのまま」って感じです。

フラットという意味ではメーカー製のケーブルたちも結構いい感じでしたが、Mogami 2534 と比べると音が細いように感じました。
Mogami 2534 単体で聞いている時にはまったく気が付きませんでしたが・・・

後日 Mogami 2524 のシールドも作ってみたのですが、Mogami 2534 や Belden 8412 と比べると音が細い感じがしましたので、この劣化というか音が細く感じる特性は 1芯特有のものなのかも知れません。

結構音が変わるような感じで書いていますが、かなり極端に書いています。
話半分位に思ってもらったほうが良いかもしれません。

当然ですが、EQとかエフェクターのような変化は無いですし、ギターを替えたような変化も無いです。
例えて言うなら、EQ とかで音を決めていくときに「このままだと物足りないんだけど、少しひねるとかかり過ぎる。」みたな違い?差?に近い感じです。
特に、Mogami 2534 と Belden 8412 の違いなんかはそうですね。

Belden 8412 で私が「モタツクなぁ・・・」と感じた低音の感じって、音を作っているときに良く起こるんですけど、イコライジングとかで解決しようとすると結局最初の音の方が良い音だったりとかして、時間もかかるし非常にめんどくさい。
でも、Mogami 2534 に替えるとスッキリするみたいな感じですかね?
たぶん、好みで意見が完全に分かれるところだと思います。


セミバランスの効果について

で、疑惑のセミバランスの効果ですが、私には違いが分かりませんでした。

ただ、ノイズが云々に関してはギターでは違いが分からなかったのですが、色々な状況で試してみたところ違いらしきものを発見したので紹介します。

まず、ミキサー側でかなり音量を大きくした状態で、作成したシールドを使って、シンセKORG R3とミキサーを接続します。
そして、シンセとPCをUSBケーブルで接続します。
すると、USB経由で伝わってきたと思われるノイズが聞こえてきます。
(このノイズはシンセのボリュームを変えても大きさは変わりませんが、USBケーブルを抜くと消えます。)

この状況で、ケーブルを替えてみると、アンバランスとセミバランスでは明らかにノイズレベルが変わるのです。
しかも、明らかにアンバランスの方がノイズが少ないです。
VUメーターでアンバランスが -20dBu くらいの場合、セミバランスは -7 ~ -10dBu くらいでした。
(ちなみに、この傾向はセミバランスのIN/OUTを逆にしても変わりませんので、方向性云々の問題ではないようです。)

1芯系のメーカーケーブルも Mogami 2534 や Belden 8412 を使ったアンバランスケーブルよりもノイズが増えていたので、セミバランスの傾向は 1芯のシールドと似ているのかもしれません。

っと言う事で、評判とは全く逆の結果になってしまったのですが、この他に有意な差が見つからなかったので、私はアンバランスを採用したいと思います。

っということで、次回以降は作成方法とかですかね?

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