リクルート事件・江副浩正の真実

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この本を読んで一番感じたのは、人質司法の問題と、推定無罪なんてものは日本には存在し無いという問題を何とかしないと、ある日突然犯罪者になてしまう可能性は誰にでもあるという事ですね。

本当に明日は我が身ですよ。

以前に紹介した「特捜神話の終焉」にも書かれてますけど、この手の特捜事件における問題と言うのは、一般的に言う冤罪の問題とは全然性質が違います。

一般的に言う冤罪は、犯罪があったという事実は確定している、例えば殺人とかが発生し、それを「誰がやったのか?」という捜査の段階で、犯人ではない人が逮捕され、刑が確定してしまう事だと思いますが、特捜事件の問題は、実際には無かった(と思わる)犯罪で逮捕され、刑罰に処されるという事です。
言ってみれば、実際には誰も死んではいないし、怪我すらしていないんだけど、殺人罪で逮捕され、実刑判決が出るような感じ

何でそんな事が起こるんだ?
そもそも、そんな事が起こり得るのか?
っと思った方は、是非本書を読んでみてください。

この本は江副さん側からの視点で書かれていますから、これだけを読んで完全な白とは言えないとは思います。
実際、かなり怪しいと疑われても仕方がないのではないかと思えてしまうくらい政治献金を行っている。

ただ、本書で確認する限り、判決としては政治献金を賄賂だとして有罪になったのではないと思われ、いったい何で有罪になっているのかが良く分からない。

個人的に、司法が「道徳的には~」とかいう理由で裁くのは間違ってると思います。
まして、「社会を騒がせた」何てのが罪になるんであれば、それはメディアの問題でしょう。

ある日突然、やってもいない事をやったとメディアに騒がれ、検察に逮捕された揚句、調べてみたらやっぱりやって無かったけど、なんだかんだ良く分からない理屈をつけて裁かれるって、意味が分かりません。
本当に怖いと思います。

法律上明確に「罪」である事で裁かれるのではなく、「罪を犯していないとは言えない」的なノリで有罪になるんであれば、推定無罪って何だ?って話になります。


ここ最近、この手の本を何冊か読んできて感じる事は、やはりマスメディアの影響力と言うか、力は本当に大きいという事です。

本文中に
「政治的、道義的な責任を問う名のもとに行われる個人攻撃は政治的なリンチ」
といった感じの言葉があるのですが、ここに全てが表現されていると思います。

メディアにも問題がありますが、それを受け取る側ももっと意識して情報を受け取らないといけないのではないかと。

報道されている事が本当に真実なのか?
報道されているから犯罪者なのか?

しっかりと見極めたいものですね。


ただ、やはり TV や新聞と言ったマスメディアの力は絶大です。

事件当時、私は小学生でした。
連日連夜 TV で「汚職事件」「おしょくじけん」と騒がれていて、子供心に「リクルートの人が政治家に"お食事券"を賄賂として渡した事件」と長い間思ってました。

いや、ギャグじゃなくて、本気で。

で、そういう刷り込みがあるからか、リクルートって物凄く悪いイメージがあって、つい最近まで
「あぁ、あの悪いことした会社ね。」
見たいな、イメージが心の底にあったように思います。

これって、私の無知が原因だってことは勿論そうなんだけど、当時子供だった世代の深層心理には
リクルート = 悪
的な物が絶対にあると思う。

少なくとも、私の中には有りました。
だから、リクルートとリクルート以外の選択肢がある場合、大きな違いがなければ無意識にリクルート以外を選んできました。
これって、凄く問題ですよね。

まぁ、だからと言って TV の報道がいきなり大きく変わるわけではないし、期待も出来ない。
そして、報道の内容をしっかりと見極めろと言われてもなかなか難しい・・・


まぁとにかく取り調べの全面可視化。
これは本当に重要だと思います。

一部とかではなくて、全てね。

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